ミーアキャットは空を飛ぶ

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ベトナム現地採用になって2年経ったので、良いことと悪いことをどちらも書いてみる

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しんちゃお!
日本はますます経済衰退、少子高齢化が進んで税金負担がどんどん重くなっていく…わたしがネットで得られる日本の現状はこんな感じです。あんまり明るいニュースを聞かないですね。

 

一方ベトナムは、経済成長率6%とか超えてて、国民年齢も平均28歳。活気のある国だ、という記事がたくさんみられます。

 

2018年に現地採用としてベトナムホーチミンにきてから2年が過ぎたので、ベトナム現地採用って実際どう?というところを振り返ってみたいと思います。

 

ちょっと長いので、途中途中でベトナムっぽい写真とかそうでもない写真とかを挟んでいます。

 

なぜベトナムだったのか?

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まずはわたしがなぜベトナムに来たのかから。自分語りさせてください。

もともとわたしは東京のITベンチャーで働いていました。仕事自体は面白かったものの、将来のキャリアなどを考えたときにあまり明るい未来が見えなかったこと、また、女性に対する扱いがあまり…という部分があり、転職を考えはじめたのでした。

 

エンジニアだったので、東京でもエンジニア職で面接を受け、実際に内定ももらいました。しかも提示された給与は30万円を超えていたのでかなり良い条件だったと思います。

 

でも、なんとなくずぅっと、「もう日本じゃない方がいいかも」という思いがありました。

その根幹は、もう言い尽くされた言葉ではありますが、「窮屈さ」。

 

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電車に乗ればみんな死にそうな顔してるし、イライラしてるし、余裕がない。
また、働いていてもやはり「女性だから」と言われることが多々ありました。

 

「このシステムを理解するのは、女の子には難しいと思うよ」

「女の子だから、ニコニコしてればいいよ」

「女性は出産で辞めるから昇進させない」

 

あと仕事で忙しい時期とかにもちゃんとメイクして会社行かないといけないとか、外見いじり(わたしに対しても、他の女性に対しても)がひどいとか、あまり納得できないことが多々ありました。


これは仕事始めてからではなくて学生時代から何度もこんな場面には直面していたのですが(同世代の友達に「女性なのに大学いくの?」と進学を阻まれるくらいの男尊女卑地域出身です)、どうしても慣れることができませんでした。

 

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あと、私は家族で夕飯を揃って食べるのにずっと憧れていました。子供の頃から父は忙しく夜帰りが遅く、母は専業主婦でしたが子供3人抱えてワンオペ家事で疲弊していました。

父が単身赴任で家を空けることも多く、このライフスタイルでは、家族である意味がないのではないかといった違和感がずっとありました。
(もちろん、離れていても家族で助け合っている実感があれば違ったと思います)


日本の家族の形に対する違和感はずっと拭えず、日本で女性をやることにもだんだんと疲れてきていて、ならいっそ海外に行こう、若いうちなら失敗しても取り返しがつくし、と、海外転職セミナーに行ったのでした。

 

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このとき、頭にあったのはベトナムニュージーランドの2カ国。
ニュージーランドは男女平等が進んでいて住みやすそうな国の印象があったので、ずいぶん昔から常に頭にありました。

ベトナムは、学生時代に旅行に行ってとても気に入っていたのと、社内にベトナム人エンジニアがいたりでITが発展していることを感じていたこと、なによりその頃週3でベトナム料理屋に通うくらいベトナム料理が好きだったので候補に入れました。

で、お金もないし、ビザとか住みやすさとか日本からのアクセスを考えるとベトナムだなということでベトナム向けに転職支援をしている人材紹介会社に登録して、何社か面接をした後今の会社に決まったのでした。

 

ベトナム現地採用で良かったこと

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基本的に適当でお気楽人間な自分はベトナムが肌に合っていると思っています。
カルチャーショックは多々ありましたが、みんなが物事をとっても気楽に考える国なので、釣られてどんどん適当になっています。

 

ベトナム現地採用になって良かったなと思っているのは

・自由な時間を手に入れたこと

・低コストでハイクオリティな暮らしを手に入れたこと

この2点に尽きます。

あとはちょっぴりの英語能力を手に入れたことでしょうか…。

 

自由な時間がとにかく増えた

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ベトナムでは基本9時〜18時、残業はめちゃくちゃ忙しいときを除いてほとんど無しです。夜がこんなに長いなんて知りませんでした。

 

会社の人と毎日飲みに行くみたいな習慣がないので、それも良いです。ていうかなんで日本で働いていたときあんなに毎日仕事終わり飲んでたんだろう?べつにお金たくさんもらってたわけでもなかったのに、頭いかれてたとしか思えないですね。そのせいで常にお金なかったし…。

 

日本では、平日は仕事を20時か21時、遅い時は23時までして、同僚や先輩とお酒を飲んで帰る、みたいなのが普通でした。


遅くまで仕事するからか、夜はあんまり寝付けなくて、土日は起きられなくてずーっと寝てました。だいたい16時ごろに起きてご飯食べて寝るのが基本的な土日の過ごし方。 

辞めるすこし前に産業医から軽度のうつと言われましたが、まぁそうだったんだろうと思います。

 

ベトナムにきてからは、なんだか精神が疲弊しなくなったので、平日の朝も夜も土日も結構精力的に活動しています。

副業もする余裕があるくらいです。ベトナムは確定申告さえちゃんとしてれば法律で副業OKになっていますよ!

 

低コストでハイクオリティな暮らし

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ベトナムではわりと良いマンションに友達と3人で住んでいます。

3LDK(1人1部屋)、大きいキッチン、無料のジムプール、セキュリティ完備。
そして週2でメイドさんに部屋の掃除(食器洗い含む)と洗濯をしてもらうという完全ブルジョワジーな生活です。

 

それでも家賃、光熱費、メイドさん代全部で500ドル前後。
運良く相場よりは安めの部屋、良いルームメイトに恵まれた(Facebookで募集したよ!)というのはあるかも知れませんが…本当に最高の家です。

 

ちなみにこの最高の家とルームメイトを手に入れるまでに、30軒以上の物件を周り、オーナーと交渉しまくり、半年くらいの月日を要しました。

 

東京でオンボロ1K、駅徒歩15分のとこに7万円くらいで住んでいた日々一体なんだったの。まぁそれはそれで好きだったんですけど。

 

メイドさん、もとい家事代行について語らせてください。

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家事と言うのは地味〜に時間を取ります。毎日のことですからね。仕事しながら家事も完璧に、は無理です。

 

だって仕事して帰ってきたらHP5くらいで、そっからご飯作って食べて洗い物して洗濯して...って、すごい重労働だと思うのです。

 

今独身だからいいけど結婚して子供産んだりしたら、人の分だけその作業は増えます。今だってたまの週末に人ちょっと呼んでご飯食べたあと片付けるの死ぬほど面倒なのに、それが毎日続くとなると、、大変すぎます。毎日パーティか?!っていう。

 

しかもここにお手洗いとか風呂とかの掃除まであります。みんなこれやってるんですよね?すごいですよ、本当にえらい。

 

さてこの家事、メイドさん、日本で言えば家事代行、を雇うことでかなり楽になります。

 

現状私の週の家事時間、自分の部屋ちょちょっと片付けるだけの30分くらい。 

するとどうなるかというと、時間が生まれます。時間が生まれると、心の余裕も生まれます。やりたいことができます。嫌いな家事をする時間が減り、やりたいことをやる時間が増えるのでストレスが激減します。

 

メイドさんを雇って、空いた時間で新しいことを学んで、という生活サイクルは、最高を生み出すための最高のライフスタイルとしか言いようがないですね。

 

海外ルームシェアだと、キッチンが汚くなって喧嘩になるとかよく聞きます。
うちのルームメイトたちみんな掃除とかしないタイプだから、メイドさんいなかったら部屋は地獄だし、喧嘩もしてると思います。

 

メイドさんがやってくれるから部屋はいつも綺麗だし、喧嘩をしたことがありません。そう、家事代行は人間関係をスムーズにする魔法です。

コスト高くても家事代行使ってください。共働き夫婦は特に!楽して何が悪い、そのためのお金です。

 

旅行にめちゃくちゃ行きやすい

話は戻って、ベトナム現地採用の良いところです。

 

東南アジア諸国オセアニア地域への旅行が容易になりました。
飛行機が安いし、フライト時間も日本から行くより短い!


リゾートが近くにたくさんあるので、とにかくみんなリゾートに行きます。

 

ITの場合、給与は思ったより下がらないかも

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ベトナムはとにかく給料が安い。
平均月収3万円の国なので仕方ないですが、日本人のベトナム現地採用の平均は額面1200ドル〜1500ドルくらいが相場な感じです。

 

ただ、ITに限って言えば、交渉次第で給与はそれなりの額もらえると思います。
ちゃんと日本で経験を積んで自走できるタイプのエンジニアやPMを欲しがっている企業は多いので。

もしもそのような人材に「ベトナムは物価が安いから」とベトナム価格しか出さないのであれば、それはあまりいい会社ではないのでやめておきましょう。

 

ただ、新卒で何もスキルがないのに日本人だからという理由で高給をもらうのはちょっと違うかなと思います。給与をもらうならばその値段分の仕事をしないといけない、というのは頭に置いておくべきです。

 

逆に、その辺のベトナム人よりもよっぽどパフォーマンス良く働いていて利益への貢献もしているのに全然給料が上がらない、とかであれば交渉するべきです。自分の働きと見合ってないと感じるのであればそれ相応のアクションを取る(交渉する、転職する、サボる…)、というのは必須かなと思っています。

 

女性の働きやすさ
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わたしが日本人ばかりの日系の会社で働いていないので、余計そう感じる可能性はありますが…ベトナムは、日本より遥かに女性の働きやすさは上だと思っています。

女性管理職に対する偏見みたいなものはないような?あるのかな?

わたしもPMをやってきましたが、たとえ年上の男性エンジニアに何か悪いフィードバックをしてもみんなすんなり受け入れてくれます。
ベトナムは女性がよく働く国だからか、女性だから昇進させないとかそんな雰囲気はないです。挑戦を受け入れる土壌もあると思います。産休育休制度もある。

 

ただ、日本ほどではないものの女性らしさを求められることは多いですし、外見や年齢についてもいわれることが多いのでそこだけはウッとなってます。

ただ日系の会社で、日本人クライアントを受け持つ女性からはあまりいい話聞かないですね。こちらの日本人界隈、下手すると日本よりセクハラ多いのでは?と思います。
そういうのは日本人女性ネットワークにてすぐに情報共有がなされるので多く見えるだけかもしれないですが…。

 

余談ですがベトナムLGBTへの寛容さはあるんだかないんだかよくわからないです。「お前ゲイだろ〜」みたいな、小馬鹿にしたようなからかいは良くみられますが、LGBTな人はわりと自然に受け入れられているし、人々に溶け込んでいるなと思います。

ただしベトナムは家族主義が強いので、家族からの反対とかはすごそう、と想像してます。

 

ベトナム現地採用で悪かったことは?


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基本的に生活は気に入っていますが、良いことばかりではないです。

特にキャリア、健康面などでは結構不安なことが多いです。

日本の方が技術はまだまだ高い(とおもう…)

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ベトナムもめっちゃ優秀な人はめっちゃ優秀なのですが、平均的にはそんなに高くないと思っています。
べつにベトナムに限ったことではないですが、プログラムも「えー!そんな処理しちゃうの!!」みたいなの書く人だって多いですし、分業が進んでいるからかテストとか全然自分でしてくれなくてバグの嵐!みたいな話も良く聞きます。

 

どうしても教える立場になることも多いので、自分の成長実感が感じられるかといえばそうでもないです。本当に自分で勉強していかないと何にも得られないぬるま湯です。

 

来たるグローバル化に向けて、外国人のマネジメントを学びたい人にはいいかもしれないですが、技術を突き詰めたい人は日本や欧米諸国の方がいいんじゃないかと思います。

 

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あとベトナムで働いて英語勉強してから他の国に…って言ってる人良くいる(私含めて!)けど、ベトナムの英語なんてたかが知れてるのでお金があるのなら最初から英語圏に行った方がいいです。

 

ベトナムのぬるま湯に浸かって、英語もそこそこしか出来なくて、成長もしないまま、日本にも戻れなくなって、、っていうのがわたしが思う一番のホラーストーリですね。

 

もちろんベトナムでも目標持って行動すればかなりいい結果を出せます。優秀な人が集まっている会社も沢山あります。 


英語を身につけたいとかグローバル人材になりたいとかだったらベトナム外資系に入るのがいちばんの勝ちパターンだと思います。給与も日系より高いところが多いですし。
(台湾人がベトナムのフリーペーパーに載ってた日系の会社の求人見て「えっ…日本人の給与、低すぎ…!?」ってなってて心がえぐられました)

 

基本キャリア面では、何も考えてないと技術もクオリティも低くなっていくと思っておいていいでしょう。

ただベトナム人は新しいことに敏感な人も多いし、自頭がいい人・ガッツがある人も多いし、挑戦を恐れないので、10年後も日本が優位に立っているだろうか?と考えると、とっくに日本が抜かされている可能性が大いにありますね。

ベトナムの医療・保険制度は不安すぎる

 日本の健康保険制度は素晴らしいです。病院にめっちゃ気軽に行けます。
ベトナムも健康保険はありますが、ローカルの病院しか対応していないことがほとんどです。
ベトナムは医療がまだまだ発達していないので、ローカルの病院に行くにはすこし…いやかなり…抵抗があります。 

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ベトナムの病院で怪我の処置をしてもらったら逆に化膿とか、患者が床に並べられている野戦病院的雰囲気がある病院とか、、

なので日本人は基本的に外資系病院に行くことになりますが、やはり高い。ちょっと検査してお薬もらうだけで1万円超えてしまいます。

それでもアメリカに比べると可愛いもんだと思いますが、日本の健康保険が恋しい。

 

外資でもレベルはそんなに高くなくて、わたしはお腹を壊した時に外資系病院に行きましたが散々「アメーバ赤痢だ」「寄生虫だ」と言われてめちゃくちゃ検査をしたのに結局何もわからなくて泣きました。。

 

ベトナムで手術とか不安だし、あまり高度なことはできないはずので、事故って手術が必要ってなった時にはタイやシンガポールに運ばれる可能性があります。

その時の費用のことを考えると、身悶えするくらい不安です。

 

なので、結局日本人は保険に多めにお金を払うことになります。
事故も病気も絶対しない自信があるのなら大丈夫かと思いますが、もしあなたが普通の人間で、ベトナム現地採用で来ることを考えているのなら、この辺はしっかり調べておいた方が良いです。

 

カラオケがうるさい

路上のカラオケがうるさいです。せめて深夜はやめてほしい。
カラオケ好きなのはいいのだけど、なぜみんなハンディカラオケセット持ってるの?ってくらいカラオケが好きなので、音に敏感な人には向かない国だなと思います。

 
もしもベトナム現地採用で来るなら? 

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これは持論ですが、何もできない状態で来るのはあまりオススメしません。
せめて何か強みがある状態で来て、それを活かしながら新しいことを学んでいくのが良いと思います。

新卒など、何もできない人はこちらの日系ブラック企業にカモにされがちです。これを見るのが一番嫌だなーと思います。


新卒でもいいんですけど、それならベトナム語がうまいとか英語がうまいとか、とにかく根性がある!とか、ある程度戦略があるとか、そういうサバイブできる要素があるのが大事なのかなと。(偉そうに言いましたが私には特に何もありません、強いて言えば適応力-またの名を諦め力があります)


と言いつつ、、何もなくともいい感じに生きていけるのがベトナムです。肩肘張らずに来てください。

ここまで書いて思ったのですが、「社会はきっと良くなっていく」って信じきることができるのが、本当にすごくプラスのパワーを持つことなんだと実感しました。ベトナムって今はまだ整っていない部分も多いけど、給与はどんどん上がっていくし、質も向上していくのだという確固たる自信がみんなあって、それが人々を活気づけているんでしょうね。