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「愛の不時着」で北朝鮮・韓国事情に興味が出たあなたにおすすめの韓国映画2

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前回の記事で「厳しめの社会隔離措置が」なんて言ってたら更に厳しくなったホーチミンです。みなさん、本当に気をつけてお家で映画でも見て過ごしましょう。ということでとても遅くなった第二弾韓国映画おすすめする記事です.

 

前回の記事では下記6つをおすすめする予定だったのですが、長くなりそうなので特に印象に残っている『小さな池』『高地戦』『シルミド』について書こうと思います。

 

『トンソルリへようこそ』『戦火の中へ』『小さな池 1950 年・ノグンリ虐殺事件』『シルミド』 『高地戦』『兄思い』

 

小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件

 

『小さな池』はイ・サンウ(이상우)監督による作品で、朝鮮戦争当時である 1950
年 7 月 25 日から 29 日にかけ、忠清北道永同郡にある村、老斤里で韓国の民間人約 300
人が米軍により虐殺された事件を告発するもの。

戦争時における虐殺事件というのは表沙汰になりづらいものではありますが、1994 年にこの虐殺事件で家族を失った鄭殷溶が出版した『我らの苦痛を誰が知ろう』という本をきっかけに知られるようになりましたが、大きく話題になることはなく、韓米両政府からの反応もなかったのですが1999年になって AP 通信が大々的に報道したことをきっかけに真相究明が求められるようになり、同年 10 月 29 日に在韓米軍が現地調査を行い、現在はアメリカ政府も虐殺があったことを認めています。


この映画を作るのに際し、イ・サンウ監督は、ドキュメンタリー作品はヒットしづら
いという理由でスポンサーがつかず苦労したと語っています。事件について語りたがらない生存者を説得し、4 年間も現場検証を行い、キャスティングはボランティアで出演するという俳優たちを使っているという類まれな作品です。。自らこの映画に出たい、ボランティアで出演するという俳優の中には相当な大物俳優もいて、韓国人がこの事件についてどれほど痛ましく思っているかを伺うことができます。

 

この映画において特徴的なのは「どんな人も等しく、主役を張ることなく殺されていく」ことです。観たあとめちゃくちゃ鬱になるし正直面白いとは全く言えないのですが、一度観てほしい映画の一つ。

 

高地戦

 

上記に比べるとしっかりキャラを立たせてストーリーとして成立させた実話に基づいた映画です。

 

 2011年の作品である『高地戦』。チャンフン(장훈)監督による作品で、2011 年第 84 回アカデミー賞外国語映画賞韓国代表作品として選ばれたほど評価の高い作品です。

 あらすじ

1953 年朝鮮戦争休戦間近の頃、38 度線付近のエロック高地では南北の激戦が行われ ていた。すでに休戦会談も始まっていたものの、北朝鮮側の代表と国連軍の代表の話し 合いは難航している。両軍はできるだけ有利な状態で終わるようにと高地の争奪戦を繰 り広げる。そんな戦闘が繰り広げられている部隊へ、人民軍のスパイがいるという疑い が持ち上がり、調査するためにワニ中隊に韓国軍防諜隊中尉のウンピョがやってくる。 

そこで昔共に戦ったスヒョクと再会するが、スヒョクはまるで人が変わったように冷酷 な人間になっていた。ワニ中隊のシン・イリョン大尉はモルヒネ中毒、楽しそうにお酒 を飲んでいても「浦項」というワードを出したとたんに静まり返る部隊の人々にウンピ ョは疑問を抱く。

 

ネタバレになるのであまり詳しくはかけませんが、休戦協定が発行されるまでの『12時間』そしてそこに至るまでに組み込まれている舞台装置が戦争の無慈悲さを思い知らせてくれる映画です。単純に映画としてとても良くできているので、これはぜひ観てほしい。

 

シルミド

 

 2003年、太陽政策のもと北朝鮮と友好ムードがある中で作られた作品です。

カンウソク (강우석)監督によるこの作品のあらすじは下記

1968 年の青瓦台事件の報復として 1971 年に韓国政府が極秘で進めた金日成暗殺計画に関わった韓国の工作員部隊(684 部隊)を基に作られている。ストーリーは、一部軍人が南北和解に反対し金日成暗殺を計画する。この計画のために連れてこられた極秘特殊部隊の人々が 3 年間、過酷な訓練に耐え、暗殺部隊として育てられる。しかし、金日成暗殺という目的を果たすべく北朝鮮への潜入を実施しようとしたところで、 南北和解ムードが訪れ、暗殺計画は頓挫してしまう。韓国政府は必要なくなった特殊部隊を抹殺しようとする。特殊部隊の男たちはそんな政府に抵抗し自分たちの存在を知らしめるためにバスジャックをしてソウルを目指す。 

 

 シルミドには北朝鮮の人物は出てきません。出てくるのは北朝鮮を憎むよう教育されトレーニングを積んだ人だけ。外界との接触の殆どない島に入れられ、もともと同胞であるはずの北朝鮮の人々を暗殺するためにトレーニングされた人々を描くこの映画が、あえて太陽政策の行われている韓国において公開された意図とは何なのか?を考えてみると面白いかもしれません。

 

 あまり長くなると。。とおもって3つに絞ってみましたが、他の作品もとてもおもしろいのでぜひ観てほしい。日本の隣の国であり、多くの偏見がまだまだ私達の中に残りがちで知っているようで知らない国が韓国だと思います。昨今のKPOPブームなのでイメージは随分と書き換えられて来ていますが、それでも「なぜあのアイドルたちは日本に関することで炎上するのか」などと思う瞬間もたくさんあると思います。 

 

歴史は消えないし変えられない、その形を『正しく』捉えることすらも難しい。ですが、相手がどのようなことを思っているかを知ることは(不完全で移り変わるとしても)できます。その糸口として、映画という媒体を利用してもらえるといいなと思います。

 

ついでに

 

北朝鮮側の物語としては『クロッシング』をおすすめします。最近でいうと『愛の不時着』もフィクション強めですが現在韓国の人たちがどう北朝鮮を捉えているのかを知る上では非常に良い(し、ストーリーもキャラクターもとてもいい)のでぜひ。。